社会保険審査会裁決例(障害年金請求)より⑤

再審査請求に基づき社会保険審査会で裁決され、障害年金不支給が覆った5例めです。

事案概要

障害厚生年金請求に対し、初診日において、厚生年金保険の被保険者であったことが確認できないため不支給決定したというもの。

具体的には、請求人の申立てた初診日は認められないとしている

経緯とポイント

経緯と事実認定

1 初診日証明

・請求人が「初診日」と主張している日については、病院が発行した受付票及び外来医療費請求書兼領収書を提出しているが、審査会は、受診状況等証明書ではないし、認めることはできないとしている。
・審査会は、その他請求人が提出した資料から別日を初診日として認定している

2 新たに初診日として認定された日の状況

・年金記録によれば、この時期は厚生年金ではなく国民年金の被保険者であることが明らか
・そして保険料納付要件も満たしていることが明らか

3 事後重症請求における障害の状態について

・提出された資料を丁寧に読み解き、2級相当であると結論づけている

結果として、審査会は、障害厚生年金ではなく、障害基礎年金2級の決定を事後重症という形で認定している

ポイント

① 受診状況等証明書(初診日証明)が添付できない場合、その日を初診日として認めてもらうためには、相応の提出資料が求められることを示唆している(今事案程度の提出資料では弱い)
② 国民年金であっても、2級相当と認められる内容であったため、年金支給決定となった

まとめ

この事案は、厚生年金にすることはできなかったものの、多くの資料を提出したことにより、別の初診日を認定してもらえたこと、事後重症請求時の障害状態が2級相当と認められたことから、支給決定に判断が変わったものであり、やはり資料を揃えることの重要さがわかる事案ではないかと考えます

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