「“支給停止”になったら終わり?」――再開できるケースを知っておこう

はじめに

障害年金の相談で、とても多い不安があります。

「就職したら支給停止になった。もう一生もらえないんですか?」
「一度止まったら終わりだと聞いて、怖くて申請できません」
「悪化しても、復活できないのでは…?」

結論から言います。

支給停止=終わり、ではありません。
障害年金には“再開ルート”が制度として用意されています。

状況の変化に合わせて、
・再開できるケース
・やり直せる手続き
・悪化時の救済
などが、法律上しっかり整備されています。

この記事では「支給停止」と向き合うための、
もっとも大切な情報を整理してお伝えします。


第1章 「支給停止」は“打ち切り”ではない

まず、最も誤解されているポイントから。

支給停止は「受給権の消滅」ではない。
年金を受ける“権利そのもの”は残っている。

ここを理解するだけで、不安の半分は消えます。

支給停止には主に2種類があります。

✔ ① 働き始めて収入・活動状況が改善し“停止”

(精神障害・知的障害に多い)
→ これは「状態好転による一時停止」。

✔ ② 更新(現況届・診断書)で状態改善と判断され“停止”

→ これは「審査による停止」。

どちらも共通するのは、

“状態が悪化したら再開できる可能性がある”ということ。

停止はあくまで「今は支給しません」という判断にすぎません。


第2章 支給再開ができる3つのルート

支給停止から再開できる手続きは、大きく次の3つです。


① 「支給停止事由消滅届」

――一度止まった年金の再開を申請する手続き

もっとも一般的な“再開ルート”です。

提出できるのは、
「状態が再び障害等級に該当した」 と医師が判断した場合。

  • 症状が再悪化した
  • 就労状況が変化した
  • 日常生活の制限が再び大きくなった

こうした変化があれば申請可能です。

必要書類は主に
✔ 診断書(障害年金用)
✔ 支給停止事由消滅届
→ 状態再悪化の事実を示せる資料があると強い


② 「審査請求/再審査請求」

――停止決定そのものを争う手続き

更新の結果、停止になったときに、
「この判断は不当だ」と思った場合の救済ルートです。

  • 診断書の記載不足
  • 医師の理解不足
  • 状態の実態が十分に伝わっていない
  • 認定基準の適用誤り

こうしたケースでは、
審査請求により“停止を取り消して復活” する例もあります。


③ 「改定請求(悪化時の再請求)」

――状態が悪化したときの正式な再判定

障害年金の根本的な改定手続き。
状態が重くなった場合に提出できます。

支給停止中であっても、
認定基準に再び該当すれば、改定請求で復活が可能です。

特に「身体障害」「内部疾患」では改定請求の運用が多い。


第3章 意外と知られていない“再開のハードルが低い”ケース

支給停止と聞くと、
「もう無理だ…」と思いがちですが、
実務的には“再開されやすい”パターンがあります。


✔ ケース①:就労後に再び働けなくなる

精神障害の受給者に最も多いパターン。

  • フルタイムに戻ったが続かない
  • 人間関係や業務負荷で再び不調
  • 長時間労働で症状が悪化

→ 医師が「労務不能」と判断すれば、支給再開の可能性は高い。


✔ ケース②:更新(診断書)のタイミングが悪かった

実務でよくある問題。

  • 診断書作成日が調子の“良い日”だった
  • 医師が書きすぎてしまった(過度に良好記載)
  • 実際の生活動作や就労状況が伝わっていない

→ 診断書の内容が実態に合っていれば再開の余地は大きい。


✔ ケース③:医師が制度に詳しくない

精神科・心療内科で特に多い。

  • 医師が「年金用の診断書」の書き方を知らない
  • 日常生活能力の評価が的外れ
  • 本来必要な記載が抜けている

→ 正しく作り直せば再開される例がある。


第4章 停止になった後に“すぐにやるべきこと”3つ

支給停止の通知が来たら、まずは冷静に次を行ってください。


① 主治医に状況を説明し、診断書の方向性を確認

・なぜ停止になったのか
・実態と診断書が合っているか
・再開の可能性があるか

医師とここを共有するのが最重要。


② 日常生活・就労状況の「客観的資料」を集める

例:

  • 欠勤・休職の記録
  • 就労移行支援の利用記録
  • 訪問看護・デイケアの利用
  • 家族の介助記録
  • 通院歴・薬の変遷

「改善していない」ことは証拠で示すほうが強い。


③ 社労士・専門家に“停止理由の分析”を依頼

停止理由は、
「状態改善」ではなく
「診断書の誤記」
「等級基準の読み違い」
であることが非常に多い。

専門家の読み解き次第で、
復活できるかどうかが変わるケースは本当に多い。


第5章 “復活に成功した”実務で多いパターン

実際に支給再開につながりやすいのは以下のパターンです。

  • うつ病でフルタイム復職 → 数ヶ月で不調 → 再開
  • 就労移行支援を終了 → 就職 → 合わず再び離職 → 再開
  • 更新時診断書が「良すぎた」 → 再提出で復活
  • 主治医変更後に実態に合わせた診断書で再開
  • 通院・服薬管理が再び必要になり再開
  • パート就労からフルタイムに戻して悪化 → 再開

つまり、

“支給停止=終わり” ではなく、“状態に応じた一時停止” が正しい理解。


おわりに

支給停止と聞くと、
「年金が奪われた」
「もう戻らないのでは」
と強い不安を感じると思います。

しかし、制度の本質はこうです。

障害年金は、状態の変化に合わせて“柔軟に運用される”仕組み。
一度止まっても、状態が戻れば再開できる。

停止は「終わり」ではありません。
いったん立ち止まっているだけです。

再開のルートは必ずあります。
一人で抱え込まず、早めに相談してください。

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