社会保険審査会裁決例(障害年金請求)より③

再審査請求に基づき社会保険審査会で裁決され、障害年金不支給が覆った3例めです。

事案概要

障害厚生年金請求に対し、障害認定日においては年金法が定める障害状態に該当することが確認できず、請求日(事後重症請求)においては、3級支給相当とした決定内容を不服としたもの
気分変調症

経緯とポイント

経緯と事実認定

1 障害認定日ころの障害の状態について

抑うつ状態が指摘され、その具体的な程度、症状は、睡眠障害が長期につづき、疲労感、全身倦怠感強く、頭痛、背部痛、排尿困難、EDがあり、起床から午前中の憂うつ気分が強く、出勤困難で休みがちで、職場では孤立し、上司とのコミュニケーションが悪く、休日は横臥し、興味関心なく希死念慮もあり、意欲低下し、外出困難とされ、日常生活状況は、在宅で同居者はなく、家族との折り合いは悪く、両親は病気を理解しておらず、職場での人間関係もコミュニケーションがおtれずに孤立し、日常生活の程度は(3)で(以下略)
と丁寧に分析されている。

しかしながら、その後、
金銭管理と買い物、通院と服薬、身辺の安全保持及び危機対応、社会性は、おおむねできるが時には助言や指導を必要とする程度で、現症時において、一般企業に一般雇用され、上司、同僚とのコミュニケーション悪く仕事が滞る状態としながらも、週に5日勤務し、管理業務の仕事をして、月にある程度の給与を受けていたとされ、請求人に係る年金記録により、標準報酬月額、賞与額も確認している。

それらを受けた結論として、
3級に相当すると認められる例示に該当しないとしている。

2 請求日ころの障害の状態

上記1同様丁寧に分析されており、
作業所での業務には慣れてきたが、疲労感が強くて継続への自信は乏しく、最近はヘルパー支援でやや改善したが、自室のごみ処理ができず、入浴もおっくうで、自己の無価値観強く、希死念慮が時々あるとされ、日常生活状況は、作業所以外での他人との接触は乏しく、日常生活はヘルパーに頼るなど、その他の状況もあわせて鑑みるに日常生活能力の判定は、(4)とされており(以下略)

このような状態は、2級に相当すると認められる例示に該当と結論づけている。

→結果として、認定日請求については、その決定が覆ることはなかったが、事後重症請求においては、3級ではなく2級であることが認められ、決定が変更となった。

ポイント

①委員が理解できるように、丁寧な資料を提出したと思われる
(どの資料で認定したかは割愛されており不明だが、診断書だけとは考えにくく、補助資料としての病歴・就労状況等申立書の記載も大きな役割を果たしたのではないか)

まとめ

この事案は、障害状態が、2級なり3級なりに該当するかを判断してもらう趣旨であるから、認定基準やガイドラインを読み込み、それに沿った記載内容にすることが重要です。
さらに、こうした書類を作成する際は、「具体的な」描写に終始することが重要といえます。

Follow me!

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました