社会保険審査会裁決例(障害年金請求)より①

今回から社会保険審査会にて、厚生労働大臣(実質日本年金機構)が下した決定が覆り、障害年金請求が認められたケースを紹介していきたいと思います。

事案概要

障害年金請求に対し、初診日における保険料納付要件が満たされていないとして、障害年金を支給しない旨の処分が行われた

経緯とポイント

経緯と事実認定

1 初診日

初診日の前日において、被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間の月数を合算したものが、3分の2に満たず、また当該初診日の属する月の前々月までの1年間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間以外の期間があるためとされたもの

2 被保険者期間

実は2か月しかない
よって、そのどちらかが未納。

3 請求人側の主張

1年分の国民年金保険料を納付しようとしていたため、同封されていた前納用納付書で支払ったが、未納となってしまった1か月分が含まれていないことに気づいていなかっただけで、20歳到達後間もないこともああり、事情に疎いことも考慮してほしい

4 事実認定

請求人は納付書到着後、速やかに納付している
前納もしていることから、1か月分の未納は「故意」でないことは明らか

2か月の期間に対し、12か月分の保険料を納付していたのだから、実質的には納付要件を満たしていることが妥当と判断

ポイント

①杓子定規に規則を当てはめれば、3分の2要件も直近1年要件も満たさない事案
②ただし2か月に対し12か月分納付していたことなどが評価され、「実質的に」納付要件を満たしていたと評価される

まとめ

以上のように、形式論ではなく実質論で勝負して結論を覆した好例です。「実質的には」という考え方が認められたのは大きく、簡単にあきらめてはいけない好例と考えます

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