はじめに
障害年金の相談で、最も多く、そして最も深刻な悩みがあります。
「診断書をどう頼めばいいのかわからない」
「何を伝えれば“状態が正しく書かれる”のか不安」
「先生から“年金のことはよく分からない”と言われました…」
これはあなたのせいではありません。
障害年金の診断書は 制度独特の項目 が多く、
医師も“書き方に慣れていない”のが普通だからです。
しかし、 伝え方 がわかれば、
医師はあなたの状態を正しく反映した診断書を書けます。
この記事では、
医師に伝えるべき3つのこと――
● 症状
● 生活
● 配慮
に絞って、わかりやすく解説します。
第1章 そもそも診断書は「症状を書く紙」ではない
まず最初に、もっとも重要な前提からお伝えします。
障害年金の診断書は、医療“だけ”で判断される書類ではない。
“生活” と “社会参加(働き方)” が半分を占める。
特に精神障害・うつ病・発達障害・知的障害では
「日常生活能力」「行動の安定性」が重視されます。
つまり、
医師に医学的な説明だけしても、診断書は揃わない。
あなた自身の「生活の状態」を伝えることが不可欠です。
第2章 医師に伝えるべき3つの視点
医師への説明は、この3つにそろえて話すと最も伝わりやすいです。
① 症状(Medical)――“今の苦しさそのもの”を伝える
医師は医学の専門家なので、
まずは症状そのものを具体的に伝えます。
✔ 言うべきポイント
- 気分の落ち込み、意欲の低下
- 不安・焦燥・過覚醒
- パニック・希死念慮
- 睡眠リズムの乱れ
- 記憶力・集中力の低下
- 医師の説明を理解できない瞬間
✔ 伝え方のコツ
症状を「強い/弱い」で表すと伝わりにくいので、
“頻度・時間・場面” の3点セットで伝えるとよい。
例:
- 朝起き上がれない日が週4日
- 仕事に集中できるのは30分が限界
- 外出すると動悸がして人混みを避けてしまう
医師はこれをもとに、
医学的治療の必要性 を診断書に反映します。
② 生活(Life)――“日常がどれだけ制限されているか”を伝える
実は最も重要なのがここ。
障害年金の診断書は「生活能力」の比重が大きいからです。
以下の6つの生活領域を参考にすると伝えやすいです。
✔ 基本的生活6領域
① 身の回りのこと(食事・洗濯・掃除)
② 服薬管理
③ 金銭管理
④ 対人関係(家族・友人・職場)
⑤ 社会性(役所手続き・買い物・公共交通)
⑥ 毎日の活動リズム(起床・睡眠・外出の頻度)
✔ 伝え方の例
- 家事がほとんどできず、親が代行している
- 1人で役所に行くとパニックになり途中で帰ってしまう
- 電話に出るのが苦痛で着信音だけで動悸が出る
- 週に1〜2日は風呂に入れない
- 睡眠は3時間で中途覚醒を繰り返す
これらは「治療効果が生活にどう反映されているか」を示す情報です。
医師はここから 日常生活能力判定 を作成します。
③ 配慮(Support)――“どれだけ支援が必要か”を伝える
最後に、
生活や仕事において どれだけ支援を必要としているか を伝えます。
これが欠けていると、
「自立している」と誤解されることがあります。
✔ 伝えるべき“配慮”の例
- 家族が服薬を確認している
- 1人で外出できないので付き添いが必要
- 電話対応は全て家族が代行
- 職場では短時間労働・軽作業で配慮されている
- 必要以上の刺激を避けるため、席が固定されている
- 面談・会議の参加は困難で、避けてもらっている
✔ “職場の配慮”は特に重要
精神障害では、
働けているように見えても
“大量の配慮があって働けているだけ”
というケースがよくあります。
それを医師が知らないために、
診断書の評価が軽くなり、
年金が不支給になるケースは非常に多いです。
第3章 実際に医師にどう伝える?
――そのまま使える「依頼テンプレート」
診察室で緊張して言えない人が多いので、
以下のテンプレをそのまま使ってください。
📝 診断書依頼テンプレ(そのまま医師に渡してOK)
①【症状】
・最近の症状は以下のとおりです。
- ○○の発作が週に○回
- 集中力が続かず○分で限界
- 睡眠は○時間で中途覚醒
②【生活】
・日常生活では以下が困難です。
- 家事はほとんどできていない
- 外出は週に○回で、付き添いが必要
- 金銭管理は家族に任せている
③【配慮】
・生活・仕事で次のような支援を受けています。
- 服薬管理を家族が補助
– 職場では短時間勤務と軽作業の配慮
- 電話対応が困難で家族が代行
「診断書に必要な項目があれば教えてください。
追加でお伝えします。」
第4章 医師との関係を壊さないためのポイント
医師にとって、
障害年金の診断書は“通常の診療とは別作業”です。
負担も大きいため、関係を壊さないコツがあります。
✔「書いてほしい結論」を言わない
→ 「2級でお願いします」「更新を通してください」は禁句。
✔「事実」を淡々と伝える
→ 感情ではなく、記録・具体例が信頼される。
✔ 過去の診断書を持参する
→ 医師が書きやすくなる。
✔ 長くなる場合はメモを渡す
→ 医師は整理された情報を好む。
おわりに
障害年金の診断書は、
あなたの人生を左右するほど重要ですが、
医師に丸投げでは不十分です。
医師は“医療の専門家”、
あなたは“生活の専門家”。
この2つが合わさって、
初めて正しい診断書になります。
「何をどう話せばいいかわからない」
そんな不安を抱えているなら、
今日紹介した“症状・生活・配慮”の3つだけ意識すれば大丈夫。
あなたの状態は、
あなたが一番よく知っています。
その事実を、医師に正しく届けてください。
