障害年金の相談に来られた方から、
よくこう聞かれます。
- 「通りますか?」
- 「何級になりそうですか?」
- 「可能性はありますか?」
気持ちは、とてもよく分かります。
不安な中で、
一番知りたいのは“結論”だからです。
でも、私はその質問には、
すぐには答えません。
代わりに、
必ず最初にする質問があります。
私が必ず最初にする質問
それは、
「今の生活で、
一番困っていることは何ですか?」
です。
制度の話でも、
書類の話でもありません。
生活の話です。
なぜ「通るかどうか」を聞かないのか
理由は、単純です。
通るかどうかは、
この質問に答えてもらわないと判断できないから
です。
障害年金は、
- 病名
- 等級
- 書類の形式
だけで決まる制度ではありません。
評価されるのは、
生活に、どれだけ支障が出ているか
です。
それを知らずに、
- 「いけそうですね」
- 「厳しいかもしれません」
と言うのは、
誠実ではないと思っています。
「一番困っていること」は、人によって全く違う
この質問をすると、
返ってくる答えは、本当にさまざまです。
- 「朝、起きられないことです」
- 「人と話すと、頭が真っ白になることです」
- 「疲れ切って、何もできなくなることです」
- 「外に出ると、帰れなくなることです」
ここで重要なのは、
その答えが、上手かどうかではありません。
具体的でなくても、
言葉がまとまっていなくてもいい。
むしろ、
- 抽象的
- 断片的
- 途中で止まる
こうした答えのほうが、
実態に近いことも多い。
この質問で、分かること
この質問一つで、
実は多くのことが見えてきます。
① 制度以前に、生活がどれくらい崩れているか
② 本人が、自分の状態をどう認識しているか
③ 支援が必要なポイントはどこか
④ 書類で拾うべき「核」は何か
逆に言えば、
この質問に答えられないまま、
書類の話だけ進めても、うまくいきません。
病名や診断名は、後からでいい
意外に思われるかもしれませんが、
私は最初に、
- 病名
- 等級
- 通院歴
を詳しく聞くことは、あまりありません。
なぜなら、
同じ病名でも、
生活の困り方は全く違うから
です。
先に生活を聞かずに、
病名から入ると、
- 先入観
- テンプレ判断
に引きずられます。
この質問に「正解」はない
「一番困っていることは何ですか?」
この問いに、
- 立派な答え
- きれいな表現
- 制度向きの言い方
は、必要ありません。
むしろ、
答えに迷うこと自体が、
重要な情報
です。
- 何が一番か分からない
- 全部しんどい
- 言葉にできない
これも、
立派な“生活の状態”です。
この質問を飛ばすと、何が起きるか
この質問をせずに進むと、
- 書類は整っているのに通らない
- 医師との認識がズレる
- 更新で落ちる
といったことが起きやすくなります。
理由は簡単で、
評価の軸が、定まっていないから
です。
私がこの質問を大事にしている理由
障害年金は、
「制度を使うかどうか」を決める前に、
「今、どこが一番しんどいのか」
を整理する制度だと思っています。
それができないまま、
- 通る・通らない
- 何級か
だけを追いかけると、
本人が置き去りになります。
最後に
もし、今あなたが、
「何から話せばいいか分からない」
そう感じているなら、
それは 相談に向いていない状態ではありません。
むしろ、
相談が必要な状態です。
「一番困っていることは何ですか?」
この質問は、
制度の入口であると同時に、
生活を言葉にする入口でもあります。
そこからで、大丈夫です。
