「申請書よりも“相談する勇気”が大事」――社労士が見た、障害年金のリアルな現場から

はじめに

「自分なんかがもらっていいのかと思っていました」
これは、障害年金の相談で最も多く聞く言葉です。

制度としては、病気やケガで働けなくなった人が“生活の土台”を立て直すためにあるもの。
けれど現場では、制度の前に“心の壁”が立ちはだかっているのを感じます。

私が社労士として障害年金の申請をお手伝いしてきた中で、
強く思うことがあります。

障害年金で一番大切なのは、「申請書の書き方」ではなく、
“相談する勇気”そのものだということです。


第1章 「自分はまだ軽いから…」という人ほど苦しんでいる

うつ病や双極性障害、発達障害、脳出血の後遺症など――
いま、障害年金の対象になる傷病は多岐にわたります。

それでも、多くの人がこう言います。
「私はそこまで重くないと思います」
「他の人のほうが大変だから」

でも、実際に話を聞くと、
・毎日通勤するだけで精一杯
・外出はできるが、人と話すと体調が崩れる
・職場の配慮がなければ働けない
――そんな状況が珍しくありません。

“見えないつらさ”ほど、周囲にも伝わりにくい。
だからこそ、制度が用意されているのです。


第2章 「病院で聞いても教えてくれなかった」

障害年金を受け取るには、医師の診断書が必要です。
しかし、病院の窓口や主治医に「障害年金のことを聞いてみたけど、詳しくはわからない」と言われた――
そんな相談も本当に多い。

それもそのはず。
医療の専門家であっても、年金制度の細かい条件や等級判定までは把握していません。

制度と医療の“すき間”にいるのが、現実です。
そして、多くの人がその“すき間”で立ち止まってしまう。

だからこそ、「一度、誰かに話してみよう」という勇気が意味を持ちます。

相談の段階で方向を整理できれば、
申請書の書き方や診断書の依頼も、格段にスムーズになります。


第3章 「言葉にすることで、状況が整理される」

ある40代の男性は、うつ病で休職し、復職を繰り返していました。
家族にも会社にも迷惑をかけていると感じ、
「こんな自分が年金なんて…」と口にしました。

でも、面談でゆっくり話してもらうと、

  • 症状の波で生活が安定しない
  • 服薬や通院を続けても社会復帰が難しい
  • 経済的な不安が症状を悪化させている

――という現実が見えてきました。

結果的に、障害厚生年金2級として決定。
「お金をもらえたことより、自分が“助けを求めていい存在”だと感じられたのが一番大きい」
と話してくれました。

話すことで初めて、自分の“苦しみの輪郭”が見える。
そして、制度はその輪郭を守るために動く。


第4章 「制度を知る」ことよりも、「声を出す」こと

障害年金の制度は複雑で、条件も細かい。
初診日、納付要件、等級――
どれも大事ですが、それ以前に大切なのは、
「自分の状況を言葉にできること」です。

「働けているけど無理している」
「家族に支えられて何とか生活している」
「通院を続けているけど良くならない」

そうした日常の断片を話すことが、
結果的に最適な制度につながります。

申請書を書くのは最後でいい。
まずは、あなたの生活の“今”を聞かせてください。


おわりに

障害年金の申請は、書類の勝負ではありません。
「助けを求めてもいい」と思えるかどうかの勝負です。

たった一度の相談が、
生活の見通しを変え、心の負担を軽くすることもあります。

もし、あなたや家族が
「これくらいで相談していいのか」と迷っているなら、
それこそが“相談のサイン”です。

申請書よりも、まず“声”。
あなたの一言から、制度は動き始めます。

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