年金請求(申請 以下申請に統一)に携わる社会保険労務士としていきなり直球記事を書いてみようと思い立ちました。(100%私見です。そもそも模範回答や絶対的正解はないと考えてます)
この記事を読んでわかること
・障害年金を請求するとき、受任した社会保険労務士はどのように考えているかがわかる
(申請業務を進める際の思考回路)
申請業務を進める際の思考回路
障害年金に限ったことではありませんが、面接がない申請は書類のみで審査され判断されることになります。よって「書類」で全てを説明しなければなりません。ここが大・大・大・大・大前提です。
→「書類」がすべて
審査担当者の立場になって考える
私は、助成金の審査も担当したことがあります。たくさん申請書類を読みますので、やはりツボを押さえた申請書類、そうでもない申請書類、だんだんと分かってきます。
コツとしては、審査側が欲している情報をとにかく端的に伝えることです。
それは何か?障害年金であれば、認定基準なりガイドラインに書かれている審査の判断に必要な項目です。
審査の作業は、審査基準に該当する要素を書類の中から拾い上げていく作業です。例えば馬術競技には加点要素というものがあって、その要素をいかに押さえていくかという競技であり、それに近いかもしれません。審査基準に該当する要素をいかに書類に詰め込んでいくか。そこの勝負です。逆にいえば、いくら文字数がたくさんあっても、肝心の審査に必要な内容が書かれていなければ、審査の、判断のしようがないというわけです。これもまた大・前提です。
→しっかりポイントを稼ぐことを意識する
では、どのように申請書類をつくっていくか
一例をあげてみましょう。
障害年金申請時の提出書類の1つに診断書があります。審査に占めるウェイトはいちばん高いといってもいいでしょう。ただし、この書類は主治医の先生が作成するものであり、基本的には医師にお任せするしかないものです。しかしながら、以下のような要素もありますので、そこは申請者側(患者側)に創意工夫する余地があります。
例えば診断書の項目の中に「発病から現在に至るまでの状況」「日常生活状況」といったものがあります。しかしながら、請求者が入院でもしていなければ、その方が普段どのように暮らしているかは分かろうはずもありません。患者から話を聞くしかないのです。
なので、この過程で正確に話が伝わっていないと、当然診断書の内容も正確でなくなります。結果として、通るものも通らないおそれが出てくるため、非常に残念な話です。
そこで、その過程(患者が医師に伝えるとき)を、ただ話すだけではなく、文字に、書面にしてみるのです。専用のメモを作成する方法ももちろんありますが、まずはどのみち作成しなければならない「病歴・就労状況等申立書」で十分です。まず先に申請者側でこの書類を書いてしまい、主治医の先生に渡してしまいます。もちろん口頭で補足説明するのもよいでしょう。主治医の先生の負担も軽くなり喜ばれることすらあります。
また、話すだけで伝えようとすると、慣れている方ならともかく、そうでない方ですと、残念ながら的を得ない話に終始されるケースも実際あります。それを防ぐ効果もあります。メモにする過程において頭の中の整理も進むからです。
ちなみに私、ふつうに病院に行って診察を受けるときも、割とこのメモを作成していきます。基本的に要領よくまとまったメモは少なくとも私の個人的体験では歓迎されることが多いです。(今は電子カルテですので、そのままスキャンされることすらある)
さらにいえば、病歴・就労状況等申立書作成時には、端的なキーワードになるべく落とし込むことが望ましいです。社会保険労務士が関わった場合は、審査担当者と専門家どうしのやりとりとなりますので、端的に伝わる専門用語を駆使することも可能です。とにかく「分かりやすく!」これがポイントです。
→相手方に伝えるときは、まず文字にしてみる
今回はここまでにしたいと思います。
ここまでお読みいただいた方、どうもありがとうございました!
注:本来、年金は「請求」という表現をつかうのが正規です。しかしながら、今回は分かりやすさを重視するため、広くつかわれている「申請」という表現をあえて用いております。