障害年金の更新で、なぜ「前より悪くなっているのに落ちる」のか――審査は“比較”ではなく“構造”を見る

更新結果の通知を見て、
こう思った人は少なくないはずです。

「どう考えても、前より悪くなっている」
「頑張って良くなったなんて、どこにも書いていない」
「それなのに、なぜ等級が下がる?」

これは、珍しいケースではありません。
むしろ、更新審査ではよく起きます。

この記事では、
「症状が悪化しているのに落ちる」理由を、
感情論ではなく、制度の構造として説明します。


まず大前提:審査は「前回との比較」をしていない

多くの人が、ここでつまずきます。

更新=
「前回より良くなったか、悪くなったか」

――そう思っていませんか?

実際の審査は、違います。

更新審査は、
「今の書類だけ」を見て判断します。

前回どうだったか、
どれだけ辛かったか、
どんな経過を辿ってきたか。

それ自体は、原則として評価対象ではありません。


理由①「悪化」が、書類上では見えない

多くのケースで起きているのが、これです。

本人の感覚では、

  • 疲れやすくなっている
  • 回復までに時間がかかる
  • 日常生活の負担が増している

でも、診断書には、

  • 「症状は継続している」
  • 「前回と同程度」
  • 「安定している」

こう書かれている。

審査側から見ると、

「変化なし」=「改善の余地あり」

と読めてしまう。

本人の「悪くなった実感」と、
書類の表現が、噛み合っていないのです。


理由②「頑張っていること」が、不利に読まれる

これは非常に多いです。

  • 何とか通院を続けている
  • 生活を維持しようとしている
  • 無理してでも外に出ている

本人にとっては、
必死の努力です。

でも、書類上では、

  • 通院できている
  • 日常生活はある程度自立
  • 社会との接点がある

と評価されることがあります。

つまり、

「悪化しながら頑張っている」

「一定程度できている」

に変換されてしまう。

これは、
審査の構造的なズレです。


理由③ 更新用診断書は「初回と同じ書き方」では通らない

初回請求で通った診断書と、
同じトーン・同じ表現。

これは更新では、
不利に働くことがあります。

なぜなら、

  • 更新は「今」を評価する
  • 同じ表現=変化なし

と読まれるからです。

結果として、

「固定化している」
「改善の可能性あり」

という判断につながることもあります。

悪くなっているなら、
「何が、どう、どの場面で悪くなったのか」
が、明確に見える必要があります。


理由④ 審査は「苦しさ」ではなく「区分」で判断する

どれだけ辛くても、
審査はこう問いかけています。

  • 日常生活のどの項目に支障があるか
  • どの程度、継続的か
  • 他者の援助が必要か

つまり、

感情や主観は評価されない

ということです。

「前より辛い」は、
評価軸ではありません。

評価されるのは、
区分に当てはまるかどうかだけです。


じゃあ、どうすればよかったのか?

ここが一番知りたいところだと思います。

ポイントは3つです。

  1. 「経過」ではなく「現在の状態」を具体化する
  2. 努力や工夫を「制限」として表現する
  3. 前回と違う点を、書類上で可視化する

これは、
本人だけでは難しいことも多い。

だからこそ、
更新前の準備が重要になります。


「落ちた=終わり」ではない

更新で等級が下がると、
一気に絶望してしまいます。

でも、

更新結果は、
あなたの状態の最終評価ではありません。

  • 審査請求
  • 再請求
  • 次回更新での立て直し

選択肢は、まだあります。

ただし、
同じ書類・同じ考え方で動くと、
同じ結果になります。


最後に

「前より悪くなっているのに落ちる」

それは、
あなたが嘘をついているからでも、
怠けているからでもありません。

制度が、そういう見方をする仕組みだからです。

構造を知れば、
次は対策が立てられます。

怒りや悲しみを抱えたままでも構いません。
ただ、仕組みだけは、知っておいてほしい。

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