医師は敵でも味方でもない――診断書をめぐる現実的な距離感

障害年金の相談で、
よく聞く言葉があります。

  • 「先生が分かってくれなくて…」
  • 「ちゃんと書いてもらえなかった」
  • 「医師が協力的じゃないんです」

その気持ちは、分かります。
診断書は、審査の“要”だからです。

でも同時に、
ここで認識がズレると、
話は一気にこじれます。

医師は、あなたの敵でも、味方でもありません。

この記事では、
障害年金の診断書をめぐる
現実的な距離感を整理します。


まず前提として:医師は「制度の専門家」ではない

最初に、ここを押さえておく必要があります。

医師は、

  • 病気を診る人
  • 治療を判断する人

であって、

障害年金制度の専門家ではありません。

診断書は医療文書であって、
「年金を通すための作文」ではない。

ここを勘違いすると、

  • 期待しすぎる
  • 怒りや失望が大きくなる

という悪循環に陥ります。


「分かってくれない医師」は、本当に分かっていないのか

よくある不満に、

「先生は、私の辛さを分かっていない」

というものがあります。

ただ、実際には、

  • 医師は症状を把握している
  • でも、生活の細部までは知らない

というケースが大半です。

診察時間は限られていて、
医師が見ているのは、

  • 検査結果
  • 症状の変化
  • 医学的な所見

生活上の困難は、
こちらから伝えなければ、書かれません。


医師に伝えるべきこと/伝えなくていいこと

伝えるべきこと

  • 日常生活で「できない」こと
  • 継続して困っている場面
  • 周囲の援助が必要な点

これは、遠慮なく伝えるべきです。

ポイントは、

「頑張ればできる」ではなく
「実際には続かない」

という事実を伝えること。


伝えなくていいこと

一方で、
伝えなくていいこともあります。

  • 「何級を取りたい」
  • 「年金を通したいから」
  • 「こう書けば有利ですよね?」

こうした話は、
医師を困らせるだけです。

医師は、
制度の戦略に加担する立場ではありません。


「協力的な医師」を求めすぎると、失敗する

ときどき、

  • 「障害年金に理解のある医師」
  • 「書いてくれる医師」

を探そうとする人がいます。

気持ちは分かりますが、
ここにも落とし穴があります。

医師が見るのは、

医学的に書けるかどうか

であって、

通してあげたいかどうか

ではありません。

「協力的かどうか」を軸にすると、
現実とのズレが大きくなります。


診断書は「共同作業」だが「共犯関係」ではない

診断書は、

  • 医師が書く
  • でも、情報源はあなた

という意味で、
共同作業ではあります。

ただし、

医師と一緒に制度を攻略する
“チーム”ではない

ここをはき違えると、
関係が崩れます。

必要なのは、

  • 敵対しない
  • 期待しすぎない
  • 距離を詰めすぎない

この3点です。


「医師が悪い」で終わらせないために

診断書に納得がいかないとき、
つい、

  • 医師が分かっていない
  • 書き方が悪い

と思ってしまいます。

でも実務的には、

  • 伝え方
  • 伝える内容
  • 診察の準備

で、変わる部分も多い。

医師を責める前に、

「必要な情報は、出せていたか」

を一度、見直してみてください。


最後に

障害年金の診断書をめぐる関係は、
とても繊細です。

近づきすぎると、
期待と失望が生まれる。

遠ざけすぎると、
必要な情報が伝わらない。

だからこそ、

医師は、敵でも味方でもない。

淡々と、
事実を共有する相手。

その距離感を保てたとき、
診断書は「戦場」ではなくなります。

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