はじめに
「年金事務所に申請したのに、書類を突き返されました」
「“これでは通りません”と言われて、心が折れました」
障害年金の申請で、こうした声を聞くことは少なくありません。
書類を整え、病院にも協力してもらい、ようやく提出したのに――
返ってきたのは「受け付けできません」「内容を確認してください」という通知。
まるで、“努力を否定されたような気持ち”になる瞬間です。
でも、ここで誤解してはいけません。
「突き返された=終わり」ではありません。
むしろ、ここからが本当の“スタート地点”なのです。
第1章 「突き返し」には3つの種類がある
年金機構(年金事務所)から書類が戻ってくるとき、
その理由は大きく3つに分けられます。
① 書類の不備
記載漏れ、添付書類不足、初診日の証明不足など。
この場合は、**「修正すれば受理される」**レベルです。
② 形式要件を満たしていない
納付要件(保険料の未納など)が原因で受け付けられないケース。
ただし、時期や制度区分の再確認で救済できることもあります。
③ 審査の対象外と判断された
「障害の状態が認定基準に達していない」など、
実質的に「却下に近い」対応。
この場合でも、不服申立てや再請求という選択肢があります。
つまり、“突き返された”といっても、
3つのうち2つは“まだ通せる案件”なのです。
第2章 落ち込むよりも“分析”を
多くの人がここで「やっぱり自分には無理なんだ」と思ってしまいます。
しかし、実務的には、「なぜ突き返されたか」さえ分かれば立て直せることがほとんど。
たとえば、
- 病院の診断書が古い(提出前に時間が経過し過ぎ)
- 症状の記載が日常生活動作に及んでいない
- 初診日の証明がカルテ廃棄で取れなかった
- 審査請求の前に、そもそも“請求受理”されていなかった
――こうしたケースは珍しくありません。
大切なのは、「制度が冷たい」ではなく「制度に合わせる」視点を持つこと。
それが、次の一歩につながります。
第3章 「再請求」「不服申立て」という選択肢
年金制度では、一度不支給になってもやり直すルートが用意されています。
▶再請求
時間をおいて新しい診断書で再提出する方法。
病状が悪化した、通院先が変わった場合などに有効です。
過去に却下された人が、再請求で認定されるケースは決して少なくありません。
▶不服申立て(審査請求・再審査請求)
「不支給決定」に納得できない場合、90日以内に審査請求が可能。
書面で理由を整理すれば、第三者機関(社会保険審査会)による再検討が行われます。
この段階では、社労士に依頼して整理する人も多く、
「なぜダメだったのか」「何を出せばいいのか」が明確になります。
“ダメでした”のあとに、“もう一度”という道が必ずある。
第4章 「制度」と「人」のあいだで
実務をしていて痛感するのは、
年金機構も「冷たい」わけではない、ということです。
彼らは“制度の番人”として、ルールに則って動いています。
でも、申請者が抱える現実の苦しさを、
書類の数字や文面だけで伝えきるのは難しい。
だからこそ、**「専門用語でなく、自分の生活の言葉で話す」**ことが大切です。
どんな動作ができないのか、どう生活が制限されているのか。
医師にも、書類にも、そこを伝えることがカギになります。
第5章 「制度の限界」を知った人は、強くなる
“突き返された経験”は、決して無駄ではありません。
むしろ、制度の構造と自分の状況を理解する貴重な機会です。
初めての申請でうまくいく人は少ない。
でも、二度目で認定される人は本当に多い。
なぜか。
それは、制度を「使いこなす力」を手に入れたからです。
制度に落とされるのではなく、制度を「味方に変える」。
その第一歩が、“突き返されたあとに動く”こと。
おわりに
「突き返された」という言葉には、冷たさがあるかもしれません。
でも本当は、そこに“やり直しの余地”が残っているということ。
制度は完璧ではない。
けれど、あきらめなければ結果は変わる。
あなたの生活を、紙一枚の判断で終わらせないでください。
申請のその先に、まだ道があります。
