障害年金の申請相談をしていると、
ときどき、こういうケースに出会います。
- 家族が熱心
- 支援員が複数いる
- 医療・福祉・行政が関わっている
一見すると、
「これは心強い」
そう思える状況です。
ところが現場では、
支援者が多い人ほど、申請がこじれる
ということが、実際に起きます。
なぜでしょうか。
こじれる原因は「支援が足りない」ではない
まず、誤解しないでほしいことがあります。
こじれるのは、支援が足りないからではありません。
むしろ逆です。
- 支援の量は十分
- 情報も集まっている
- 動いてくれる人も多い
それなのに、
話が進まない。
問題は、
**支援の「向き」と「整理」**にあります。
よくある構図
「それぞれが正しい」状態
支援者が多いケースでは、
こんな状態が起きがちです。
- 家族は「生活を守りたい」
- 支援員は「制度に当てはめたい」
- 医師は「医学的に正確でありたい」
- 行政は「要件を確認したい」
全員、間違ったことは言っていません。
でも、
見ている方向が違う
このズレが、
申請を複雑にします。
こじれるポイント①
「誰の言葉が、本人の言葉か分からなくなる」
支援者が多いと、
説明がどんどん整っていきます。
- うまく整理された文章
- 制度向きの表現
- もっともらしい理由
ところが、
本人の実感が、どこかに消える
ことがあります。
結果として、
- 本人の声が薄い
- 生活の実像が見えない
書類は整っているのに、
中身が伝わらない。
こじれるポイント②
善意が「方向違い」になる
支援者が増えるほど、
- 「こう書いたほうがいい」
- 「それは言わないほうがいい」
- 「この制度を使うべき」
という助言も増えます。
でも、それぞれの支援者は、
自分の専門領域の“正解”
を語っているだけ。
全体を見て調整する役割がいないと、
善意同士がぶつかる
状態になります。
こじれるポイント③
本人が「決めなくてよくなる」
支援者が多いと、
本人はこう感じやすくなります。
- 誰かが考えてくれている
- 自分は従えばいい
一見、楽です。
でも、障害年金は、
本人の生活が評価される制度
です。
本人が、
- 何が一番つらいのか
- 何が続いているのか
を言語化しないまま進むと、
どこかで必ず詰まります。
こじれるポイント④
「話が立派」になりすぎる
支援が重なると、
- 理由がきれい
- ストーリーが整っている
- 破綻がない
書類になります。
でも、審査が見るのは、
整合性よりも、生活の実態
立派すぎる説明は、
かえって、
- 現実感がない
- 作られた印象
と受け取られることもあります。
支援が多い人ほど、整理役が必要になる
ここが一番大事です。
支援者が多いケースで必要なのは、
新しい支援者ではありません。
必要なのは、
- 誰が何を見るのか
- どこまで関わるのか
- 最終的に誰の言葉でまとめるのか
を整理する役割です。
「支援を減らす」のではない
誤解してほしくないのですが、
支援者を減らせ、という話ではありません。
必要なのは、
- 役割の整理
- 情報の一本化
- 本人の軸の確認
です。
支援が多いこと自体は、
悪いことではありません。
最後に
支援者が多い人ほど、
申請がこじれる。
それは、
誰かが悪いからではありません。
善意が重なりすぎて、
方向を見失っているだけです。
障害年金の申請で、
一番大事なのは、
本人の生活が、
どれだけ続けられていないか
その一点です。
支援は、
それを伝えるための補助輪。
主役は、
いつでも本人です。
