はじめに
「仕事をしているから、障害年金は無理ですよね?」
――この言葉を、私は何度も聞いてきました。
でも、それは誤解です。
たしかに、かつては「働いている=生活できている」とみなされやすい時期もありました。
けれど今、社会は変わりつつあります。
“働けること”と“健康であること”は、もう同じではありません。
障害年金の審査は、「働けるかどうか」ではなく、
**“どんな支援を受けて働いているか”“どんな制限を抱えているか”**を見ています。
第1章 “働いている=元気”という古い価値観
障害年金は「生活にどれくらい支障があるか」で判断されます。
ところが、多くの人が“働けている=健康”と考えてしまう。
でも、実際の現場では――
- 服薬を続けながら何とか通勤している
- 職場の理解があり、配慮のもとで短時間勤務している
- 調子の悪い日は出勤できず、シフトを減らしてもらっている
このような“働いているけれど制限がある状態”の人がたくさんいます。
年金制度が見ているのは、まさにこの部分なのです。
第2章 制度が見るのは「働けるか」ではなく「働き方の中身」
障害年金の審査では、
**「労働能力」よりも「日常生活能力」**が重視されます。
つまり、評価されるのは“就労の有無”ではなく、
「働くためにどれだけ支援や配慮が必要か」
たとえば、うつ病や発達障害で配慮を受けながら働く人。
通院や服薬を継続しなければ勤務が続かない人。
それは、「通常の労働能力を発揮できていない」状態と判断されます。
“働ける”こと自体が問題ではなく、
“働くためにどんな条件が必要か”が判断基準になるのです。
第3章 実際に「働きながら受給している人」は多い
実際、働きながら障害年金を受給している方は珍しくありません。
- 週3日の軽作業を続けながら受給している発達障害の方
- 精神疾患で在宅勤務をしている方
- 通院治療を続けながら時短勤務をしている方
彼らは「怠けている」のではなく、**“支援を受けながら働いている”**のです。
制度もそこを理解しており、審査に使われるガイドラインでも、就労している者が年金を決定する場合の基準が設けられています。

第4章 “働く”ことを否定しない制度へ
障害年金は、“働けない人だけの制度”ではありません。
「働きながら生活を支える制度」でもあるのです。
むしろ、支給を受けることで――
- 治療を続けながら働ける
- 生活の安定を得て再発を防げる
- 社会参加を維持できる
こうした**「持続可能な働き方」**が実現します。
年金は「甘え」ではなく、社会のセーフティネットです。
その目的は、“働く意欲を支えること”でもあるのです。
まとめ
- 働いている=健康ではない
- 障害年金は「支援が必要な働き方」も対象になる
- 受給しながら働く人はたくさんいる
障害年金は、“働く権利”と“支援を受ける権利”を両立させる制度です。
もし今、
「仕事をしている自分が申請していいのだろうか」
と迷っているなら――どうかその迷いのまま、専門家に話してみてください。
制度は、あなたを拒むためではなく、支えるためにあるのです。
