「“手帳と年金”は別モノです」――等級が違っても間違いじゃない理由

はじめに

「障害者手帳が3級なのに、障害年金はもらえないと言われた」
「手帳2級なのに、年金は3級ってどういうこと?」

――そんな声を、相談のたびに耳にします。

どちらも“障害に関する制度”なのに、なぜ違うのか。
もしかすると「役所が間違っているのでは?」と思う人もいるでしょう。

でも、これは**制度が違うからこそ起きる“正しいズレ”**なのです。


第1章 そもそも“手帳”と“年金”は目的が違う

まず、整理しておきましょう。

◆障害者手帳(身体・療育・精神)
社会参加を支援するため
都道府県・市区町村
税控除、交通・公共料金の割引など
◆障害年金
生活・所得を保障するため
日本年金機構
年金(現金給付)として定期支給

つまり――

手帳は「社会的サポート」
年金は「経済的サポート」

同じ“障害”という言葉を使っていても、目的がまったく異なるのです。


第2章 “等級の違い”が生まれるのは当然

手帳と年金は、目的が違えば等級の付け方も当然違います。

たとえば――

  • 手帳は「身体機能・知的能力・精神症状などの“状態”」を評価します。
  • 年金は「その状態が“日常生活や労働にどの程度影響しているか”」を評価します。

言い換えれば、

手帳は「症状」中心、年金は「生活のしづらさ」中心。

だから、手帳2級でも年金3級ということは珍しくありません。
逆に、手帳3級でも年金2級になることもあります。


第3章 具体例で見る「ズレる理由」

いくつかのケースで見てみましょう。

① 精神障害(うつ病・双極性障害など)

  • 手帳では「症状の重さ」や「治療の継続性」を中心に判断。
  • 年金では「働けるか」「家事や社会生活がどの程度できるか」が重視。

👉 そのため、通院歴が長くても、就労できていれば年金は3級になる場合があります。


② 発達障害・知的障害

  • 手帳はIQなど客観的基準が重視される。
  • 年金は「支援がないと生活できない程度」を重視。

👉 知的には軽度でも、社会生活が著しく制限される場合は、年金2級になることもあります。


③ 身体障害

  • 手帳は「失われた機能(手足・視覚・聴覚など)」を数値で判断。
  • 年金は「その障害によって生活や労働がどれだけ制約されるか」を判断。

👉 同じ手足の欠損でも、生活能力や職業によって年金等級は異なることがあります。


第4章 “どちらが正しい”ではなく、“役割が違う”

多くの人が混乱するのは、どちらか一方を「基準」と思ってしまうからです。

でも、制度はどちらも「正しい」。
評価軸が違うだけで、目的のために最適化されているのです。

手帳は「社会で生きやすくするため」
年金は「生活を支えるため」

この2つがそろって初めて、**“支援の全体像”**が完成します。


第5章 制度を“つなげて使う”という発想

大切なのは、
「手帳の等級が年金に影響する」と思い込むのではなく、
両方をうまく組み合わせて生活を支えること。

たとえば――

  • 手帳によって税金や医療費の負担が軽くなる
  • 年金によって生活費を安定させる
  • 手帳をもとに就労支援や福祉サービスを受ける

制度は競い合うものではなく、補い合う関係なのです。


第6章 “ズレ”を恐れず、“支援の重なり”を探そう

制度の違いを理解すると、見方が変わります。

「手帳と年金の等級が違う」=「おかしい」ではなく、

「支援の入り口が2つある」と考える。

等級がズレていても、そこにあなたの生活の多面性が反映されています。

社会で生きることは、単一の基準で測れるものではありません。
だからこそ、制度は複数あり、互いに補完し合う仕組みになっています。


おわりに

手帳と年金は、似ているようでまったく違う。
でも、その“違い”があるからこそ、支援の幅が広がるのです。

手帳が「社会との接点」を支え、
年金が「生活の基盤」を支える。

どちらも、あなたの人生の一部を守るために存在しています。

等級が違っても、それは間違いではなく、あなたの生活を多面的に見ている証拠
そしてそれを“理解して使う”ことが、制度を味方につける第一歩です。

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